がん 「もろともに輝く命」(著者 森下美千代)より転載
体細胞の突然変異によって、ある一つの細胞が異常に増殖して腫瘍ができる病気。
悪性腫瘍は異常な増殖細胞が原発部位に留まっておらず、周りの組織に浸潤したり遠く離れた組織に転移したりし、正常な組織の機能を阻害して、個体の生存に大きな影響を与えるもの。
細胞分裂を制御している制御機構が乱されることに起因している。
個々の細胞は全体の中の個として必要に応じて細胞分裂をしているが、突然変異によって制御機構に従わない細胞ができてしまい、それが際限なく分裂する細胞になってしまうと、がんになる。
細胞活動の制御機構はタンパク質によって構成されている。
タンパク質は、アミノ酸配列も合成量も合成の時期もすべて遺伝子との関わり合いによって決められているので、遺伝子に変異が起こると、それはタンパク質の構造や量などの変化として外に表れる。
そして、そのタンパク質が細胞分裂に関わっているタンパク質ならば、異常な細胞増殖が起こることになる。
細胞の増殖に関わるタンパク質には細胞分裂を促進する「がん原遺伝子」と、抑制する「がん抑制遺伝子」があり、この遺伝子部位に突然変異が起こると、タンパク質合成が異常となる。
「コード領域」に変異が起こるとアミノ酸配列が変化するし、「制御領域」に変異が起こると合成量が異常になる。
がんは遺伝子が1箇所だけ変異してもほとんど発症しない。数箇所の変異が蓄積されて、細胞がもうそれ以上は我慢できなくなったときにがんになる。
がんは体細胞に起こる突然変異によって発症するものであり、がんそのものが子孫に遺伝することはない。