百億年の果て

F100

 我らの地球は誕生して約五十億年。そしてあと五十億年ほど経てば巨大化した太陽に呑み込まれ消滅する。つまり、地球の寿命は約百億年ほどである。
 その間、様々な生物がこの地上に生まれ、繁栄し、滅んでゆくのだろう。滅び去った生命の亡骸はやがて化石となって地上に残る。百億年の寿命が尽きんとする地球上には考えられないほど多様な化石が残っているはずだ。
 「天使」は人間の考え出した想像物ではあるが、五十億年も経てばこんな化石が地球上のどこかに存在しているかもしれない(と僕は想像してこの作品をつくったわけだ)。
 本体部分は死滅し骨になってしまっているが、翼は永遠の輝きを保ったままである。石化した翼は永遠の輝きを保ったまま、地球もろとも太陽に飲み込まれ、微細な粒子に分解し、広大な宇宙空間に散らばってゆく。しかしいつかまた、かつて翼を構成していた微粒子は宇宙空間のどこかで再結集し、新たな生命の元になってゆくのであろう。

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