遠縁の娘ということになっているが、本当は私の実子である。 離婚した妻が亡くなった後、妻方の親戚をたらい回しにされて いたが、先方と何度も交渉し、ようやく私が引き取った。 妻はこの子に父親は死んだ、と教えていたことから、私が 実の父親であることを知らない。この子が14歳になるまで 一度も面接したことが無く、また私と別れたのが3歳のこと だったので当然父の記憶はない。 妻がこの子に対して再三、父親がどれだけひどい男だったかを 話して聴かせていたためか(全くの冤罪だが)少し男性恐怖症的 な面がある。また、対人恐怖とまでには至らないが、いまだに 外出することが出来ない。 従って、私はこの子が何らかの形で戸籍を自分で確かめるまで は自分の本当の立場を明らかにしないつもりでいる。 私は単なる遠縁の伯父として、この子が認識しているこの 世界を何とかうまく維持していこうと考えている。