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2005年10月10日の日記
 朝方、Mさ んがド アを開ける音で目が覚める。懐中電灯を持って何か探しているようだ。聞けばオイルサーバを見つけたとのこと。何と屋外にあったらしい。いくら館内を探して も見つからないわけだ。Mさんも寒さに耐えず目が覚めたという。
 早速ストーブに火を入れ様子を見る。10分ほどポンピングした後やっと着火。どうやら今年最初の火入れ式だったようだ。
 どうにか人がいられるくらいの室温になった来た頃、皆もぞもぞと起きてくる。全員起床したところで、有志が朝の買い出しにでて朝食を済ませる。チェック アウトは10:30 だから、そう急ぐこともない。撮影したりTVを見たりしつつ、荷物を搬出。退出直前、布団を畳むとその下の床がひんやりと冷たい。これは寒いはずだ。

 鍵の返却にフロントに行くと、暖房の件で苦情を申し立てる。暖房料100円は返却されたが、それだけで済む問題でもあるまい。
 それにしても、こういった苦情とか説明とかいった面倒な件は、なぜか私がすることになっている。いささか損な役回りだ。もうそろそろ降りたい気分であ る。

 宿を引き払った我々は、旧国鉄富内線振内駅を目指す。ネット情報によれば、小さな鉄道公園になっていて機関車と客車が保存されているらしい。
 
 到着してみると、廃線には似つかわしくない立派な建物と、それとは対照的に自然と同化しつつある保存(?)車輛があった。車輛はライダーハウスとして、 建物はバスターミナルとして使われているようだ。建物の中には旧富内線の資料がわずかながら展示されており、管理人が常駐している。

「すいません。ここで撮影したいのですがよろしいでしょうか?」
「どんな撮影ですか?」
「個人的なものです。ホームページに使う写真です」
「あぁ、それならいいんじゃないでしょうか」

 いつも許可を取るやり方と特に変わったところはない。そこでむすめを車から出し、客車まで抱えて運んでいると、管理人室から先ほどの管理人が飛び出して きた。

「いったい何の撮影なんですか?」
「ですから、ホームページに載せる写真を撮るんですが」
「で、それ(人形?)は何ですか」
「これを使ったホームページを作っているんです。商売とかじゃありませんよ」
「私は単なる記念写真か何かだと思っていたのですが」
「私たちにとっては記念写真です。もし問題があるのでしたら中止します」
「いえ、別に問題じゃありませんが…」
「問題があればすぐに撤収しますから、立ち会って下さってもいいですよ」
「それは結構です」

 人形を使った撮影、と言わなかったのがお気に召さなかったようだ。いつもはきちんと説明しているところを失念してしまったのが、ミスであることは確か だ。

 とまれかくまれ、事前に構想していた車内の撮影にはいる。先ほどの管理人の剣幕では今回限りの撮影になることも考えられるため、手持ちのコンテのすべて を手早く撮影していく。6〜7パターン撮ったところでKarasuさんが撤収の声かけをしにやってきた。やや撮り残しがあるため不完全燃焼であったが、屋 外撮影していた人たちによれば、警察官が様子を見にやってきたとのこと。後ろ暗いことなど何一つないが、そういうことなら長居は無用だ。残念ながらここで の撮影は中止である。勿論、撤収の際の挨拶は欠かさない。結局ここの管理人は、最後まで不快さを隠さなかった。

 次の目的地、富内駅へ向かう。ここも旧駅舎と車輛が保存されている。

 常駐する管理人はいないようだ。駅舎内には映画「ぽっぽ屋」で使用された鉄道用品が展示されている。いずれも営業用として実際に使用されていたもので、 市場価格はかなりのものと思われる。窃盗団が入らなければよいが……。
 車輛には入れないようなので、駅舎を中心に撮影する。現実に使用されていた建物だが、雰囲気の面ではセットとして作られた「明日萌駅」に及ばない。どう もこの国の「保存」というものが、その時代の精神まで考慮して行われていない(つまり「即物的」であるということ)証左であろう。
 ホームや車輛については、とてもいい状態に保たれている。維持している人たちの気配りを感じる。これからもこのままで保存できるよう頑張ってほしいもの である。

 撮影はここで終了。それぞれが家路につく。私とMさん、まさくんさんは札幌まで戻ったあと、暴を冷やかしてプリムでお茶のお決まりコースで締めくくっ た。
(了)
2005 年10月10日(月)   No.28